会社員の不動産投資の始め方|マンション投資の仕組み・収支・税金・リスクと、勧誘で気をつけること
当サイトは、特定の金融商品の購入や保険の加入を勧めるものではありません。投資には元本割れのリスクがあります。商品の内容や手数料は変わることがあるため、最終的な判断は公式の情報を確かめたうえで、ご自身の責任で行ってください。
NISAやiDeCoの次の資産づくりとして、投資用マンションを買う「不動産投資」を考える会社員もいます。ローンを使えば手持ちのお金が少なくても始められる一方で、借入れの金額が大きく、空室や金利の上昇などで、思ったとおりの収支にならないこともあります。この記事では、会社員がマンション投資を考えるときに知っておきたい仕組みと税金、リスク、勧誘の注意点を、国税庁と国土交通省の資料をもとに整理します。不動産投資を勧めるものではなく、利益を約束するものでもありません。
先に結論
- 仕組み:投資用のマンションを買って人に貸し、家賃からローンの返済や管理費などを払う。ローンを返し終えると、家賃の多くが手元に残るようになります。
- 収支は毎月プラスとは限らない:ローン返済・管理費・修繕積立金・固定資産税などを差し引くと、毎月の収支がマイナスになる物件もあります。
- 主なリスク:空室、家賃の下落、金利の上昇、修繕費、売りたいときに思った値段で売れないこと、災害など。
- 税金:家賃の利益は不動産所得として、給与と合わせて課税されます。赤字は給与と損益通算できますが、土地を買うための借入金の利子に当たる部分は通算できません。
- 勧誘の注意:「必ずもうかる」などの断定的な説明や、断ったあとのしつこい勧誘は、宅地建物取引業法で禁止されています。
会社員の不動産投資とは
会社員の不動産投資でよく見かけるのは、都市部のマンションの1室(ワンルームなど)を、ローンを使って買い、人に貸して家賃を受け取る方法です。買った部屋の入居者探しや家賃の集金、退去のときの対応などは、管理会社に任せるのが一般的です。
株式や投資信託との大きな違いは、次の3つです。
- ローンを使う:物件の値段の多くを金融機関から借りるため、手持ちのお金より大きな資産を持てます。その分、借金も大きくなります。
- 実物の資産:建物は時間とともに古くなり、修繕が必要になります。地震や火事などの災害のリスクもあります。
- すぐには売れない:株のようにボタン一つで売ることはできず、買い手を探す必要があります。売るときにも費用がかかります。
会社員がローンを組みやすいのは、毎月の給与という安定した収入があるためです。逆に言えば、家賃でローンを払いきれない月は、給与から補うことになります。
収支のしくみ
マンション投資の毎月の収支は、家賃収入から、さまざまな支出を差し引いて考えます。
主な支出
| 支出 | 内容 | 気をつけたい点 |
|---|---|---|
| ローン返済 | 元金と利息 | 変動金利の場合、金利が上がると返済額が増える |
| 管理費 | マンションの共用部分の清掃・管理など | 建物の管理組合が決める。上がることがある |
| 修繕積立金 | 外壁や設備の大規模な修繕に備える積み立て | 建物が古くなるにつれて上がることが多い |
| 賃貸管理の手数料 | 入居者募集・家賃の集金などを任せる費用 | 管理会社やプランによって違う |
| 固定資産税・都市計画税 | 毎年かかる税金 | 年に数回に分けて払う |
| 部屋の修繕費 | 退去後のクリーニング、エアコンや給湯器の交換など | 突然まとまった金額が必要になる |
| 保険料 | 火災保険・地震保険など | 災害への備え |
このほか、買うときには、仲介手数料(業者が売主の場合はかからないこともある)、登記費用、ローンの手数料、不動産取得税などの初期費用がかかります。
販売会社の収支シミュレーションを見るときは、空室の期間を入れているか、家賃が下がる前提になっているか、金利が上がった場合の試算があるか、修繕積立金の値上がりを入れているかを確認しましょう。満室・家賃が変わらない・金利も変わらない、という前提だけの試算は、実際より良く見えます。
不動産投資の主なリスク
空室
入居者がいなければ、家賃は入りません。それでもローン返済や管理費は毎月かかります。駅からの距離や周りの環境、部屋の広さなどで、空室になりやすさは変わります。
家賃の下落
建物が古くなると、一般に家賃は下がっていきます。新築のときの家賃をもとにした収支が、10年後、20年後も続くとは限りません。
金利の上昇
変動金利でローンを組んでいる場合、金利が上がると返済額が増えます。不動産投資のローンは金額が大きく、期間も長いので、少しの金利の変化でも、総返済額への影響は大きくなります。
修繕費と修繕積立金の値上がり
部屋の設備の交換や、建物の大規模な修繕のための費用は、時間がたつほど増えていきます。
売りたいときに売れない(流動性)
急にお金が必要になっても、すぐに思った値段で売れるとは限りません。売る値段がローンの残りより低いと、売ってもローンが残ってしまいます。
災害・事故
地震や火事、水漏れなどで、修理が必要になったり、入居者がいなくなったりすることがあります。火災保険や地震保険でどこまで備えられるかを確認しておきます。
家賃保証(サブリース)の見直し
管理会社が部屋を借り上げて、空室でも一定の家賃を払う「サブリース」という仕組みがあります。ただし、契約の内容によっては、家賃の見直しや解約の条件が決められていることがあります。「ずっと同じ家賃が保証される」と思い込まず、契約書で見直しや解約の条件を確認してください。
不動産投資の税金
家賃の利益は「不動産所得」
国税庁のタックスアンサーNo.1370によると、土地や建物の貸付けによる所得は不動産所得で、「総収入金額 − 必要経費」で計算します。必要経費には、貸付けのために直接必要な費用として、固定資産税、損害保険料、減価償却費、修繕費などが含まれます。ローンの返済のうち、経費になるのは利息の部分で、元金の返済は経費になりません。
会社員の場合、不動産所得は給与所得と合わせて課税されます。不動産所得がある場合は確定申告が必要になることが多いので、申告が必要かどうかは国税庁の案内や税務署で確認してください。
赤字は給与と損益通算できる、ただし例外がある
不動産所得が赤字になった場合、その赤字は給与所得などと差し引きでき(損益通算)、結果として所得税や住民税が減ることがあります。これが、不動産投資が「節税になる」と言われる理由です。
ただし、国税庁のタックスアンサーNo.2250では、不動産所得の損失のうち、土地を取得するために借りたお金の利子に当たる部分は、損益通算できないとしています。マンションの場合、借入れの一部は土地(敷地の持ち分)の分とみなされるので、赤字のすべてを給与と通算できるわけではありません。
また、税金が減るのは「赤字が出たから」です。赤字は実際にお金が出ていっていることも多く、税金が減った分よりも出ていくお金のほうが大きければ、手元のお金は減ります。減価償却費のように、お金は出ていかないが経費になるものもありますが、その分、売るときの利益の計算では、建物の取得費が減って、税金が増えることがあります。「節税」だけを理由に買うのはおすすめできません。
売るときの税金
物件を売って利益が出たときは、譲渡所得として、ほかの所得と分けて課税されます。国税庁によると、売った年の1月1日時点で所有期間が5年を超えていれば所得税15%・住民税5%(No.3208)、5年以下なら所得税30%・住民税9%(No.3211)です。ほかに復興特別所得税がかかります。短い期間で売ると、税率が高くなる点に注意が必要です。
団体信用生命保険(団信)
投資用マンションのローンでは、団体信用生命保険(団信)に入ることが多いです。ローンを組んだ人が亡くなったり、高度障害になったりしたときに、保険でローンの残りが返済される仕組みです。家族には、ローンのない物件が残ります。
このため「生命保険の代わりになる」と説明されることがありますが、遺された家族が受け取るのはお金ではなく物件で、その価値や家賃収入は、その時の状況によって変わります。すでに入っている生命保険とのバランスを考えて判断しましょう。
勧誘で気をつけること
国土交通省は、投資用マンションの販売について、宅地建物取引業者からのしつこい電話勧誘の苦情や相談が多いとして、注意を呼びかけています。宅地建物取引業法などでは、次のような勧誘が禁止されています。
- 不確実な将来の利益について、断定的な判断を示すこと(「必ずもうかる」「家賃は絶対に下がらない」など)
- 威迫すること(相手をおどして困らせること)
- 勧誘の前に、会社名、勧誘する人の名前、勧誘が目的であることを告げずに勧誘すること
- 断られたのに勧誘を続けること
- 深夜や早朝など、迷惑な時間に電話や訪問をすること
こうした勧誘を受けたときは、日時や会社名、免許証番号、担当者名、やり取りの内容を記録して、その業者の免許行政庁(国土交通省の地方整備局や都道府県)に知らせるよう、国土交通省は案内しています。
クーリング・オフ
宅地建物取引業法第37条の2では、宅建業者が自ら売主となる売買で、業者の事務所など以外の場所(喫茶店など)で申し込みや契約をした場合、書面で申し込みの撤回や契約の解除ができるとしています(クーリング・オフ)。ただし、クーリング・オフができることを書面で告げられた日から8日を過ぎた場合や、物件の引渡しを受けて代金をすべて払った場合はできません。クーリング・オフをしても、業者は損害賠償や違約金を請求できず、受け取った手付金などは返さなければなりません。どこで申し込んだかによって対象になるかが変わるので、迷ったら免許行政庁や消費生活センターに相談しましょう。
業者の確かめ方
宅地建物取引業を営むには、国土交通大臣か都道府県知事の免許が必要です。会社のサイトや広告に「国土交通大臣(○)第○○○○号」のような免許番号が書かれているかを確認し、国土交通省の宅建業者の検索で、免許を受けているかどうかを調べることもできます。
始めるまでの流れ
- 家計と目的を整理する:生活防衛のための預金があるか、NISAなどほかの資産づくりとのバランス、何年くらい持つつもりかを考えます。
- 資料を集めて比べる:複数の会社の資料や物件を見て、収支の前提を確かめます。
- 面談・物件の提案:担当者から物件の提案を受けます。収支シミュレーションは、空室・家賃下落・金利上昇を入れた場合も出してもらいましょう。
- ローンの審査:年収や勤務先、勤続年数などをもとに、金融機関が審査します。
- 契約・引渡し:重要事項説明を受けて契約します。わからない点は、契約の前に必ず質問します。
- 運用:管理会社に賃貸管理を任せ、毎年確定申告をします。
不動産投資サービスの例:RENOSY
不動産投資の会社の一つに、株式会社GA technologiesが運営する「RENOSY(リノシー)」があります。公式サイトに書かれている主な内容は次のとおりです(2026年11月6日時点)。
- 運営会社:東証グロースに上場している株式会社GA technologies(宅地建物取引業 国土交通大臣(2)第9135号)。
- AI不動産投資:公式サイトで「AI不動産投資」をうたっています。
- オンライン:不動産の売買契約やローン契約の手続きをオンラインでできるとしています。会員サイトやアプリで、購入した物件の管理・運用を確認できます。
- 賃貸管理:購入後の入居者募集や家賃の集金・送金などを、グループ会社の株式会社RENOSY ASSET MANAGEMENTが行うとしています。
- リスクの説明:公式サイトでも、不動産投資には不動産特有のリスクがあると説明し、リスクと対策のページを用意しています。
資料請求や面談の前に、上で書いた収支の前提やリスク、税金のポイントを確認しておくと、提案を比べやすくなります。くわしくはRENOSYの公式サイトをご覧ください。
よくある質問
Q. 自己資金が少なくても始められますか?
ローンを使えば、物件の値段より少ない自己資金で始められる場合があります。ただし、借入れが大きいほど、毎月の返済や金利上昇の影響も大きくなります。初期費用や、空室・修繕に備える予備のお金も必要です。
Q. 不動産投資は会社の副業禁止に当たりますか?
会社の就業規則によります。一般には、少ない部屋数の賃貸は資産運用として認められることが多いですが、念のため勤め先の規則を確認してください。
Q. NISAと不動産投資、どちらを先にやるべきですか?
人によって違いますが、NISAは少額から始められ、いつでも売ることができます。不動産投資は借入れが大きく、長く持つことが前提になります。まずは生活費の備えとNISAなどで資産づくりの土台を作ってから、不動産投資を検討する人が多いです。NISAの仕組みはNISAとは?で整理しています。
まとめ
- 会社員の不動産投資は、ローンで投資用マンションを買い、家賃からローンなどを払う仕組み
- 毎月の収支は、空室・家賃下落・金利上昇・修繕でマイナスになることがある
- 家賃の利益は不動産所得。赤字は給与と損益通算できるが、土地の借入金の利子の部分は通算できない
- 売るときは、所有期間5年超で所得税15%・住民税5%、5年以下で30%・9%
- 断定的な説明やしつこい勧誘は宅建業法で禁止。事務所以外での契約はクーリング・オフの対象になることがある
- 収支シミュレーションは、厳しめの前提でも確認してから判断する
出典:国税庁 No.1370 不動産収入を受け取ったとき(不動産所得)/国税庁 No.2250 損益通算/国税庁 No.3208 長期譲渡所得の税額の計算/国税庁 No.3211 短期譲渡所得の税額の計算/国土交通省「投資用マンションについての悪質な勧誘電話等にご注意ください」/e-Gov法令検索「宅地建物取引業法」(第37条の2)/RENOSY 公式サイト/株式会社GA technologies 会社概要